ビジュアル詩系総合芸術サイト「エデンの扉」

私からあなたへ 2 - 音楽

過ぎ去りし日々

 

「やべえ、死んだのか?」
「早く逃げろ」
 二人の男が路地裏から慌てて立ち去った。
 路地裏の奥に、山のように捨てられたゴミの上に倒れた男が、静かに目を覚ます。
 男は自分の腹部から流れ出る血を手にとって見つめる……。

 招かれざる客。彼女の結婚式場を訪れた男に彼女の親類から向けられた目だ。
 男と彼女は学生時代に家族公認の付き合いをしていた。だが、大学を卒業後、彼女は地元の企業に勤め、男は都会の企業へと就職をした。
 出世街道にうまく乗ることができた男は三年間の海外勤務をすることになった。そのことを彼女に伝えると、彼女は男が帰ってくるのを待っていてくれると言った。

 男は仕事で手が一杯だった。仕事で疲れ果てて家路につき、そのまま倒れるように翌朝まで眠る生活を三年間続けてしまった。そして、男が帰国したときに、学生時代の友人から彼女が結婚することを耳にしたのだった。
 男は彼女を責めた。だが、彼女は男に冷静な冷ややかな目を向けた……。

 遠くから、誰にも見つからないように彼女のウエディングドレスを見つめた。幸せそうな彼女の姿を見つめた。そして男は結婚式場を後にした。
 その帰り、男は酒を浴びるほどに飲みつづけ、まっすぐに歩ける状態ではなかった。そしてぶつかった相手が悪かった……。

 男の腕が暗闇に伸ばされる。走馬灯のように過去から現在への記憶が蘇る。
 遠ざかる意識の中で、男は昔のままの彼女に再び出会うことが出来た。やっとめぐり会えたのだった。
 翌日、路地裏で発見された男の顔はとても安らかだった……。

過ぎ去りし日々

Copyright(C)1983-2003 Seine Lukis Allrights reserved.

作詞作曲:Seine Lukis

野に花が咲く頃、君と出会って
流れ行く時間に身を任せた日々
君は誰よりも輝いていた
めぐり行く季節に揺れていた心

 Ah…ふたつの若い心
 さよならの一言でもう二度とふたりにはなれない
 Ah…君を傷つけるから
 落ちるのは僕ひとりでいい、夕暮れの街角

野に花が咲く頃、君と別れて
見知らぬ人の中、君を思い出す
「三年経ったら、また会ってください
それまで待っている、あなたのことを」

 Ah…ふたつの若い心
 さよならの一言でもう二度とふたりにはなれない
 Ah…君を傷つけるから
 今、君の大事な人、もう僕ではないから

 Ah…君は幼い日の思い出と
 一言で片付けてしまうことが出来るの?
 Ah…君を傷つけるから
 消えるのは僕ひとりでいい、夕暮れの街角

野に花が咲く頃、君と出会って
流れ行く時間に身を任せた日々