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恋人たちの季節 第二章 - 詩集

恋人たちの季節 第二章

 

恋人たちの季節 第二章

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陽だまり

「ねえ、ポカポカして暖かくて気持ちいいよ」
と大きな声で話し掛けてくる君。
初めの頃は無邪気な君を見るたびに冷や汗が出たのだけど、
何時の間にか君は僕の陽だまりになっていた。

君が待つ店

今日は僕の誕生日。
君は店の入り口にクローズの札を下げ、
店内の照明を明るくして僕が来るのを待っていた。

待ち合わせ

約束の場所に三十分遅刻した僕。
君はかなり怒っている。
今日は初めて彼女の父親に会う日だ。
下手な言い訳はよそう。
彼女の両親に会う前に、僕は誓いの指輪を彼女に贈った。

君に似たひと

昔愛した女性。
彼女は汗をかくと身体が冷えるから嫌だ、と言って夏でも長袖を着ていた。
あれから何年経っただろう?
年老いた私は第二の人生を歩むためにこの街に来た。
ある夏の散歩道の途中、私の胸の奥から熱いものが込み上げてきた。

あの時

『あなたにとって、私は一体何なの?』

以前、君の唇から漏れた言葉が蘇ってくる。
僕はただ、君の温もりを感じていたかった。
ただ抱きしめていたかった。
初めて二人で歩いた砂浜。
今、確かに君は僕の腕の中にいた。
しかし、君の心はここには無かった。
僕の知らないところにあった。

ハテナ

今日僕たちは、初めて二人で映画を観に行って、その帰りに食事をした。
だけど君はずっと黙ったままで、僕が何を話し掛けても軽く頷くだけだった。

「ごめんね、無理に誘っちゃって。僕と一緒にいても、つまらないよね?」

君の家の近くまで送ってきて、僕の後悔した声が口から漏れる。
すると、君は黙ったまま首を大きく横に振った。

君はマリアじゃないのか?

「ずっと私のことを心配してくれてありがとう。
 今はとても幸せよ。さ、涙を拭いて……」

長期の出張で訪れた土地。
偶然古びた修道院の前で彼女と再会した。
私は彼女が決して幸福とは呼べないくらいに
辛い人生を送ってきたことを知っている。
だが、今私の目の前にいる彼女は優しい笑みを浮かべて
私を見つめてくれている。
君の笑顔が眩しくて、涙で曇って、君の顔が良く見えないよ……。

雨上がる

秋の冷たい雨が長く続くと、心まで冷え切っちゃうね。
どんなに悲しいことがあっても、雨に隠れて涙を流しちゃだめだよ。
悪い天気はいつまでも続かない。
雲の隙間から必ず日の光が差し込めるからね。
ほら、晴れてきたでしょ?
涙は悲しいときじゃなく、君が一番美しいときに流して欲しいな。

それから

秋となり紅葉が散った頃、
彼女は僕のアパートを訪れた。
手作りのアートボックスの中には、
僕の大好きな梨がたくさん入っている。
葉を落とした木々に新緑をもたらした彼女は、
あの日会社を辞めた。
そう、まだ指輪を送っていないけど、
僕たちは年が明けたら入籍する。

回顧(みかえり)の吊橋

昨夜のテレビの紅葉情報をもとに、僕たちはこの吊橋へとやってきた。
吊橋の上から見る紅葉が綺麗だと、彼女は感動を口にした。
高い所が少し苦手な僕は、彼女の顔しか見ることが出来ないでいる。
紅葉を満喫した彼女は僕の前を歩いた。
僕はその後をゆっくりと歩く。

「男の子でしょ、しっかりしなさい」
と振り返った彼女の腰も引けていた。